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当たり前のことだが、始まりが来れば終わりも来る。 祐希との日常生活、Aとの非日常で愛欲に溢れた情事、いつまでも続くわけがない。 この歳になれば、そんなことは充分わかっている。 三ヶ月した頃だろうか、事態は急変した。祐希がAのことを切り出したのだ。 「君に限って、そんなことは無いよね」 祐希はいつものように、必要最低限で根底にはやさしさを含んだ口調で会話を閉めた。 何も言うことが出来なかった、頷くだけで精一杯だった。 「良かった、俺の思い過ごしだね、もうやめようこんな会話」 祐希はいつものように、にっこりと笑いながら珈琲を啜った。 当然だが、このままでは終わらない。終われない。 きちんと答えをださないといけない日が来たのだ。 でも、どうやって答えをだすのか。 わからない。
電話が繋がらなかったら、Aの予定が合わなかったら、この恋は終わりにしようと決めた。 でも、Aはすぐにホテルまで会いに来てくれた。 始まった、もう元には戻れない。刹那な感覚だが、祐希との関係は終わってもいいと思った。 Aとの情事は、この数日の想像を超え遥かに尊いものだった。 何回も溢れ出す液体、迸る肉体、すべてが久しぶりの感覚だった。 Aの身体は、細身ながらも逞しく鍛えられて、独特の香りがした。 このまま、このままでいたい。
午後三時にAの携帯に電話をかける。 祐希みたいな普通の会社員なら仕事をしている時間だが、なぜかAは大丈夫な気がしている。 Aが何の仕事をしているか知らないし、聞いてみたいと思ったこともない。 でも、その立ち振る舞いから、育ちがいいこと、社会的に責任ある立場であることが分かる。 Bと同じ空気感に似た香りがするのだ。 育ちがいいだけの祐希には無い何かを持っている。 三回の着信音でAは電話に出た。 「どうしたの?」 ジェントルな耳障りのいいAの声が身体を支配し始めた。 もう、元には戻れない。
数年ぶりにBがいつも連れてくれたホテルにチェックインした。 理由はないが、なんとなく思考より行動が先んじたのだ。 念のため名前は偽名で、いつもBが好んでいた東京タワーが一望できる部屋を指定した。 部屋に入り、大きく息をしてみる。 あれから数年経っているが、Bのあの香りが凝縮されよみがえる。 いい歳をして、少し濡れ始めていることに気づき、突然我に返る。 何をしに来たのか、目的がないままここにたどり着いた。 知らぬ間に自分への言い訳を探している、この時に及んでまで。 でも、することはただ一つ。決まっているのだ。
何も手につかない。 祐希が会社に行った後は、決まってこうだ。 特に観たいわけではないが、ケーブルテレビの映画チャンネルを観たりしながら過ごす。 ソファでじっとしているとAのベッドでの囁きがよみがえり、まだ数回しかベッドをともにしたことがないAへの熱い欲情が胸にわきあがる。 そういえば昔、年下の彼氏と付き合いながら妻子のある男性と関係を持ったことがあった。 まだ若かったし、彼氏とも遊びのような関係だったので、何の罪悪感もなかった。 Bは40台後半なのに、何の生活感もない男性だった。 すべてが、完璧に見えた。 Bの強烈な美意識がわたしの意識を薄めていく、そんな感覚。 目の前のすべてが完璧に見えた。自分にはない圧倒的なプライドに満ちた男性だった。 たとえば、フレンチレストランでのソムリエと自然に交わすワインについてのやりとり、バーでマティーニをウォッカシェイクでオーダーするところなど、今までの男とは一線を画していた。 もしかしたら、Aへの想いはこの感覚に近いのか。 祐希には無い、ある特殊な男だけが許される振る舞いというか自意識、そんな魅力。 そして、ふと我に戻ると欲情が高まり熱く火照っているわたしの身体が存在している。 上手くは言えないがそんな感覚が続いている。